MAKE IT YOURS · 表計算と検算

読んで、試して、
自分の学びを選ぼう。

  1. 01表の列・行の範囲・条件・数式を貼る場所を書いて、関数を頼む
  2. 02店舗ごとの件数を数え、表の行数と合うかを見る
  3. 03金額と日付の列の中身、コピーした数式の範囲を確かめる

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表計算でAIに頼むと、間違った合計もそれらしく見える

月末の集計や、店舗別・担当者別の合計を出す作業で、関数の書き方をAIに聞く人が増えています。やりたいことを日本語で書けば、SUMIFSのような関数が返ってきて、貼り付ければ数字が出ます。困るのはその先で、出てきた合計が正しいかどうかは、数字を眺めても分かりません。

文章なら、おかしな言い回しに読み手が気づくこともあります。合計の数字は、1行分が抜けていても、関係のない行が混ざっていても、見た目はもっともらしいままです。しかも原因は数式だけでなく、表の側にもあります。店名の後ろに入った空白や、文字として入力された金額は、画面ではほとんど区別がつきません。

この記事は、ExcelやGoogleスプレッドシートの作業をAIで楽にしたいが、出てきた結果を検算する方法が分からない人に向けたものです。読み終えたときには、関数を頼む前に何を伝え、返ってきた数式と表をどの順で確かめれば提出してよいかを、自分で判断できる状態を目指します。

題材の注文表と数式は、すべてつくりてラボが作った架空の例です。実在の店とは関係ありません。問題を含む数式も人が書いた練習材料で、特定のAIサービスで実行した結果ではありません。

AIに頼めるExcel作業は3種類あり、確かめ方が違う

AIに表計算を手伝わせるとき、方法は大きく3つあります。関数や数式を書かせて自分で貼る、すでにある数式の意味を説明させる、ファイルそのものを渡して集計まで任せる、の3つです。結果がどこにでき、何を見れば確かめられるかは、どれを選ぶかで変わるので、下の表で先に整理しておきましょう。

ファイルを渡す方法について、OpenAIのヘルプは、ChatGPTが一部の分析でPythonのコードを書いて実行すると説明しています。そのうえで、結果を信頼する前に、生成されたコードと出力、前提を確認するよう求めています。MicrosoftもExcelのCopilotについて、生成する分析情報や数式が不正確または不適切な可能性があるとし、使う前に確認・編集・検証するよう案内しています。

この記事で扱うのは、最も多くの人が最初に試す1つ目の方法、関数を書かせて自分の表に貼る場面です。数式がセルに残るので、あとから範囲や条件を開いて確かめられます。次の節からの検算は、ほかの2つの方法で出た数字を手元の表で照らし直すときにも、同じ手順で使えます。

AIに頼めるExcel作業は3種類あり、確かめ方が違う
頼み方結果ができる場所主な確かめ方
関数や数式を書かせ、自分で貼る自分の表のセル件数の検算、列の中身の確認、参照範囲の確認
今ある数式の意味を説明させるAIの回答(表は変わらない)説明に出てきた範囲と条件を、実際のセルと見比べる
ファイルを渡して集計まで任せるAIの回答や、AIが作ったファイル使われたコードと前提を読み、手元の表で同じ合計を出して比べる

練習用の材料:架空の焼き菓子店の注文表12行

下は、架空の焼き菓子店の9月分の注文表です。A列が日付、B列が店舗、C列が商品、D列が金額で、1行目が見出し、2行目から13行目がデータです。ここから、本店・駅前店・催事の3つについて、9月の店舗別の合計を出します。

この表には、集計を狂わせる問題を3つ入れてあります。表の中の注記を見れば答えが分かるので、自分で試すときは注記を消してから表計算ソフトに入力してください。注記は、画面では見分けにくい状態を文字で示したものです。

【つくりてラボが作った架空の例:焼き菓子店の注文表(9月分)】
(「こむぎ舎」は架空の店です。金額の単位は省いています)

行 A:日付   B:店舗  C:商品     D:金額
1 日付    店舗   商品      金額
2 2026/9/2  駅前店  焼き菓子セット 3600
3 2026/9/3  本店   クッキー缶   2400
4 2026/9/5  本店   マドレーヌ   1800
5 2026/9/8  駅前店  焼き菓子セット 3600
6 2026/9/9  催事   クッキー缶   4800
7 2026/9/12 駅前店  マドレーヌ   1200 ←注記:店舗名の後ろに半角の空白が1つある
8 2026/9/15 本店   クッキー缶   2400 ←注記:金額が文字列として入力されている
9 2026/9/18 催事   焼き菓子セット 7200
10 2026/9/21 駅前店  クッキー缶   2400
11 2026/9/24 本店   焼き菓子セット 3600
12 2026/9/28 駅前店  マドレーヌ   1800
13 2026/10/1 本店   クッキー缶   2400

F列に店舗名(F2:本店、F3:駅前店、F4:催事)を入れ、G列に合計を出す

頼み方:表の形、範囲、条件、数式を貼る場所を先に書く

「店舗別の合計を出す関数を教えて」とだけ頼むと、AIは列の位置や行の範囲を仮に決めて数式を書きます。仮の範囲が自分の表と1行でもずれていれば、その数式は貼った瞬間から間違った合計を出します。AIには表が見えていない前提で、画面を見ていない同僚に口頭で説明するつもりで書きます。

伝える項目は5つです。使うソフト(ExcelかGoogleスプレッドシートか)、列ごとの中身と見出しの行、データが入っている行の範囲、合計の条件、数式を貼るセルと、そこから下へコピーするかどうかです。コピーするなら、範囲がずれないように固定する必要があり、ここを書かないと固定されていない数式が返ってくることがあります。

もう一つ、検算用の数式も一緒に頼みます。店舗ごとの件数を数える式があれば、合計と同じ条件で何行が拾われたかが分かり、次の節の検算にそのまま使えます。下は、練習用の表のために当サイトが書いた依頼文です。

Excelで、店舗別の合計を出す数式を作ってください。

・表はA列が日付、B列が店舗、C列が商品、D列が金額です。1行目は見出しで、データは2行目から13行目です。
・F2からF4に店舗名(本店、駅前店、催事)が入っています。G2に数式を入れ、G3とG4へ下にコピーします。コピーしても範囲がずれないようにしてください。
・合計するのは9月の注文だけです。
・検算のため、H2からH4に、同じ条件で数えた件数を出す数式も作ってください。
・数式の各部分が、表のどの範囲と条件を指しているかを1行ずつ説明してください。
・数式を貼る前に、表のほうで確かめておくべき点があれば挙げてください。

問題を含む数式の例:合計は出るが、正しくない

前の節の依頼文から、範囲の固定、9月だけという条件、検算用の件数の3点を省いて頼んだ場合を想定し、起こりうる形を人が書いた数式の例です。G2に入れた数式を、そのままG3とG4へ下にコピーしています。エラーは出ず、3つのセルにそれぞれ数字が表示されます。

答え合わせを見る前に、どこに問題があるかを探してみてください。表の側の3つの問題も、この数式ではすべて素通りします。

【つくりてラボが作った架空の例:問題を含む数式】
(AIで実行した結果ではありません。範囲の固定・期間の条件・検算の指定を省いて頼んだときに起こりうる形を、練習用に人が書いたものです)

G2 =SUMIFS(D2:D13,B2:B13,F2)
G3 =SUMIFS(D3:D14,B3:B14,F3) ←G2を下にコピーした結果
G4 =SUMIFS(D4:D15,B4:B15,F4) ←G2を下にコピーした結果

検算1:店舗ごとの件数を足し、表の行数と比べる

最初に、合計ではなく件数で確かめます。H2に=COUNTIFS($B$2:$B$13,F2)を入れてH4までコピーすると、店舗ごとに条件に合った行の数が出ます。COUNTIFS関数は、範囲のセルに条件を当てはめ、条件を満たした数を数える関数です。練習用の表では、本店が5件、駅前店が4件、催事が2件になります。

3つを足すと11件で、データの行数の12件に1件足りません。どの店舗にも数えられなかった行があるということです。店舗名の列を1行ずつ見ていくと、7行目の駅前店だけが拾われていません。見た目は同じ「駅前店」でも、後ろに空白が付いているため、条件の「駅前店」と一致しないからです。

件数の検算では、金額の数字を1つも足しません。合計が合っているかまでは分からないものの、拾うべき行を拾ったかどうかは、この段階で判定できます。店舗や担当者、商品の分類など、条件に使う列の表記ゆれで拾われなかった行があれば、件数の差として現れるはずです。見つけた空白は、TRIM関数で先頭と末尾から取り除いてください。

検算2:金額と日付の列の中身を確かめる

次に、合計する列の中身を見ます。D2からD13を選ぶと、画面の下のステータスバーに集計値が出ます。MicrosoftのヘルプはExcel for the webについて、ステータスバーに平均、個数、数値個数、最小値、最大値、合計を表示でき、どれを出すかは自分で選べると説明しています。このうち「個数」と「数値個数」の2つを表示させておいてください。列の中に数値ではない値がいくつあるかが、この2つの差で分かります。

練習用の表でD列を選ぶと、個数は12、数値個数は11と表示されるはずです。差の1つは、8行目の文字列の金額です。SUM関数についてMicrosoftは、テキスト値を無視して数値だけを合計すると説明しており、文字列のままの金額は合計から漏れるおそれがあります。文字列の数値は、セルの左上に出る警告から「数値に変換」を選ぶか、VALUE関数を使って数値に直してください。

日付の列は、古い順に並べ替えて先頭と末尾を見ます。末尾に2026/10/1があり、10月の注文が9月の表に紛れ込んでいると分かります。問題の数式には期間の条件がないため、本店の合計にこの行の2400が入ってしまいます。月ごとの表に別の月の行が混ざる原因は、コピーや貼り付けの範囲の取り違えが多く、数式だけを見ていても気づけません。

検算3:コピーした数式を開き、範囲がずれていないか見る

最後に、数式そのものを開きます。見るのは、コピーした先のセルです。G2だけを見ると範囲は2行目から13行目で正しく見えますが、G3を開くと3行目から14行目、G4は4行目から15行目にずれています。Excelの参照は既定では相対参照で、数式をコピーすると参照先も同じだけ動くためです。

このずれで、G3の駅前店の合計から2行目の3600が抜けます。G4の催事は、該当する行が6行目と9行目なので、たまたま影響を受けません。1つのセルで合っていても、ほかのセルでも合っているとは限らない例です。列と行の前に$を付けると参照が固定され、コピーしても範囲が動かなくなります。

もう一つ見ておくのは、SUMIFSの範囲の大きさと引数の順番です。Microsoftの説明では、合計対象範囲と条件範囲は同じ行数と列数にする必要があり、そろっていないと#VALUE!エラーになります。また、SUMIFSでは合計対象範囲が最初の引数、SUMIFでは3番目の引数で、この違いが問題の一般的な原因だとされています。AIに似た関数へ書き換えさせたときは、引数の順番を1つずつ確かめてください。

答え合わせ:4つの問題と、見つけた検算

下の表は、当サイトが練習用の表と数式を照らして作った答え合わせです。表の側に3つ、数式の側に1つの問題があります。自分で見落とした問題が、どの検算で見つかる種類だったかを記録しておくと、自分の表で確かめるときにどこから手を付ければよいかが分かります。

4つの問題を直したあとの9月の正しい合計は、本店が10200、駅前店が12600、催事が12000で、3店舗を足すと34800です。直した表で、店舗ごとの件数(本店4件、駅前店5件、催事2件)の合計が11件、9月のデータの行数11行と一致することも確かめてください。

答え合わせ:4つの問題と、見つけた検算
問題場所見つけた検算直し方
店舗名の後ろの空白7行目のB列検算1:件数の合計が行数より1少ないTRIM関数などで空白を取り除く
文字列として入力された金額8行目のD列検算2:個数12に対して数値個数が11「数値に変換」かVALUE関数で数値に直す
10月の注文の混入13行目検算2:日付を並べ替えると末尾が10月1日10月の表へ移し、9月の表から外す
コピーで範囲がずれた数式G3とG4検算3:コピー先のセルを開くと範囲が1行ずつ下にずれている範囲に$を付けて固定し、コピーし直す

直させ方:表を先に直し、数式は範囲と固定を指定して頼み直す

直す順番は、表が先で数式があとです。表に空白や文字列、別の月の行が残ったまま数式だけ正しくしても、合計は合いません。練習用の表なら、7行目の空白を取り、8行目の金額を数値に直し、13行目を10月の表へ移します。するとデータは2行目から12行目の11行になります。

そのうえで、AIに頼み直します。下の依頼文は、答え合わせをもとに当サイトが書いた例です。表を直したことと新しい範囲、コピーしても範囲を固定することを明記しました。返ってきた数式を貼ったら、検算1から3をもう一度行います。

参考として、直した表でG2に入れる数式の一例は=SUMIFS($D$2:$D$12,$B$2:$B$12,F2)です。これをG4までコピーすると、範囲は動かず、条件のF2だけがF3、F4へと動きます。9月だけの表にしたので、期間の条件は数式に入れていません。月をまたぐ表で集計する場合は、期間の条件をどう書くかをAIに頼み、その条件で数えた件数も一緒に出させてください。

先ほどの数式を直したいです。表のほうは次のように直しました。

・7行目の店舗名の後ろにあった空白を取りました。
・8行目の金額を数値に直しました。
・10月1日の行は別の表へ移したので、データは2行目から12行目の11行です。

G2に店舗別の合計の数式を入れ、G3とG4へ下にコピーします。
コピーしても合計対象範囲と条件範囲が動かないように固定し、条件のセル(F2)だけが下へ動くようにしてください。
H2からH4には、同じ条件で数えた件数の数式もお願いします。

AIに渡さない表と、AIに任せきりにしない計算

関数を書かせるだけなら、表の中身を渡す必要はありません。列の見出しと行の範囲を文字で伝えれば足ります。顧客の氏名や連絡先、取引先ごとの売上が入った表をそのまま貼る前に、その情報をAIに入れてよいかを確かめてください。入れてよい範囲の見分け方と、名前や数字を伏せる加工は、架空の社内資料で練習する関連記事にまとめています。

MicrosoftはExcelのCopilotについて、間違いを犯したり、不正確な結果を生成したりする場合があるとしています。金融、法律、医療のような機密性の高い分野の意思決定には使わないよう注意書きも添えています。請求や給与、税の計算のように、1行の誤りがそのまま相手に届く集計は、AIに書かせた数式でも、この記事の検算を終えてから提出してください。

検算にかける手間は、数字の使い道で変えてかまいません。自分だけが見るメモなら件数の検算だけでも、拾い漏れの多くは見つかります。上司や取引先に出す数字は、3つの検算をすべて行い、どの検算をしたかを添えて渡すと、受け取った人も確かめやすくなります。

  • 頼む前に、列の中身・データの行の範囲・条件・貼るセルを書いたか
  • コピーする数式の範囲を$で固定するよう頼んだか
  • 同じ条件で数えた件数の合計が、データの行数と一致したか
  • ステータスバーで、金額の列の個数と数値個数が同じか
  • 日付を並べ替え、対象の期間の外にある行がないか
  • コピー先のセルを開き、範囲がずれていないか
  • SUMIFSとSUMIFの引数の順番を取り違えていないか
  • 顧客名や取引先ごとの数字を、確認せずにAIへ貼っていないか

独学で続けられる人、スクールで学ぶと進みやすい人

この記事の練習用の表で4つの問題を自分で見つけられ、同じ検算を自分の表で2〜3回試して迷わなかった人は、独学で続けられます。見落とした問題の種類をワークシートに記録し、回を重ねて減っていくかを見てください。表計算ソフトと、使っているAIのほかに追加の費用はかかりません。

スクールを検討してよいのは、AIが返した数式の各部分が何を指しているのか、説明を読んでも自分の表と結び付けられないときです。検算で合わないと分かっても、原因が表と数式のどちらにあるのか切り分けられない場合も同じです。自分の業務の表をどこまでAIに見せてよいかを、職場の決まりに照らして相談したい人も、講師に質問できる環境があれば迷う時間を減らせます。

スクールの説明会や無料相談では、「AIに書かせた数式を検算して直す演習があるか」「自分の業務に近い表で添削を受けられるか」「質問できる期間と回数はどうか」を聞いてみてください。生成AIの講座でも、表計算の実務まで扱うかは講座によって異なります。

つくれる作品を、見てみよう。

思い描いた世界が、伝わる一枚に。

卒業後のイメージへ ↗

やりたいことから、最初の講座を決めよう。

掲載している6講座を、学ぶ目的で分けました。どれにも当てはまらなければ、無料の入口で話を聞いてから決めても遅くありません。

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