MAKE IT YOURS · AI生成物の使いどころ

読んで、試して、
自分の学びを選ぼう。

  1. 013つの質問に分ける
  2. 02似た作品がないか検索する
  3. 03使った範囲を依頼主に伝える

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「使っていいか」は、3つの別々の質問に分ける

ChatGPTやGeminiで作った文章や画像を、勤務先の資料、副業の納品物、自分のブログやSNSに使いたい。けれど著作権や規約に触れないか分からず、公開や納品の直前で手が止まっている人に向けた記事です。読み終えたときに、手元の生成物を「このまま使う」「直してから使う」「使わない」のどれにするか決められ、その理由を記録に残せる状態を目指します。

判断の材料は3つの質問に分かれます。1つ目は、使ったAIサービスの利用規約がその使い方を認めているか。2つ目は、生成物が他人の作品の著作権を侵害していないか。3つ目は、生成物について自分が権利を主張したり、依頼主へ権利を渡したりできるか。文化庁のチェックリストは、2つ目と3つ目を混同する誤解に注意するよう書いています。規約に「出力はあなたのもの」とあっても、他人の作品に似ていれば2つ目の問題は片付きません。

この記事は法律上の判断を示すものではありません。個別の案件で迷ったら、依頼主との契約書やマッチングサービスの規約を読み直し、必要に応じて弁護士などの専門家に相談してください。勤務先の業務で使う場合は、社内の規程と担当部署の判断が先に来ます。

主要4サービスの利用規約に書かれていること

下の表は、OpenAI、Google、Anthropic、Microsoftの個人向けの利用規約を2026年9月27日に読み、出力の扱いに関わる条文をつくりてラボが要約したものです。会社が契約した法人向けプランには別の規約が適用されます。会社のアカウントで作った生成物を扱うときは、管理者に確かめてください。

4社の規約には共通点が2つありました。出力の権利については、利用者に譲るか、提供元が所有権を主張しないと書かれています。加えて、AIが作ったものを人が作ったように見せる行為は、どの社も禁止または制限の対象です。OpenAIとMicrosoftの規約は、似た出力が他の利用者にも返される場合があると説明しています。

読み違えやすいのは、OpenAIとAnthropicの条文が、提供元に権利が「ある場合」にそれを利用者へ譲ると書いている点です。提供元が譲れるのは自分が持つ権利だけで、生成物に著作権が生まれるかどうかも、他人の作品を侵害していないかどうかも、規約では決まりません。規約の確認で済むのは1つ目の質問だけ、と覚えておきましょう。

主要4サービスの利用規約に書かれていること
サービス出力の権利(要約)人が作ったように見せる行為確認した規約
ChatGPT(OpenAI)利用者がアウトプットを所有し、OpenAIは権利がある場合にそれを利用者へ譲渡する。他の利用者に似た出力が返されることがある禁止事項に挙げている利用規約(2026年1月1日発効)
Gemini(Google)ユーザーが生成したオリジナルコンテンツについて、Googleは所有権を主張しない禁止事項に挙げているGoogle利用規約(2026年7月30日発効)
Claude(Anthropic)規約の順守を条件に、Anthropicは権利がある場合にそれを利用者へ譲渡する利用ポリシーで禁止しているConsumer Terms(2025年10月8日発効)とUsage Policy(2025年9月15日発効)
Copilot(Microsoft、個人向け)Microsoftは利用者のプロンプトと回答を所有しない。回答は利用者に固有とは限らないCopilotを使ったかどうかについて人を誤解させないよう定めているCopilot利用規約(2026年8月18日発効)

他人の作品を侵害するのは「似ている」と「元にした」がそろったとき

文化庁の文化審議会著作権分科会法制度小委員会は、2024年3月15日に「AIと著作権に関する考え方について」を取りまとめました。これによると、既存の判例では類似性と依拠性の両方が認められたときに著作権侵害となり、AI生成物の類似性も、人がAIを使わずに作ったものと同じく、既存の作品の表現上の本質的な特徴を感じ取れるかどうかで判断されます。2024年7月31日の「チェックリスト&ガイダンス」は、類似性がないAI生成物なら、その利用に著作権法上の特段の許諾は要らないと書いています。

では、画風をまねた生成物はどうか。考え方の資料は、作風や画風といったアイデアが似ているだけで既存の著作物との類似性が認められない生成物は、生成しても利用しても著作権侵害にはならないと整理しました。ただし、特定のクリエイターの少数の作品を追加学習させた場合などは、作風にとどまらず表現まで共通することがあると注意しています。

依拠性については、利用者が既存の作品を知らなくても、生成や利用が侵害になることがあるとチェックリストは説明します。さらに、プロンプトに既存の作品そのものや、作品のタイトル、キャラクター名を入れると、その作品を認識していたことを推認させる事情になり、依拠性が認められやすくなるとしています。

作ることと、使うこと。この2つも分けて考えます。個人が私的使用の目的で生成するだけなら、権利制限規定の範囲内で許諾なく行える場合がある、というのがチェックリストの説明です。インターネットでの配信や複製物の譲渡といった利用となると、多くの場合はその範囲の外。同じ画像でも、自分で眺めるだけか、ブログに載せたり依頼主へ納品したりするかで、必要な確認の重さは変わってきます。

AIで作ったものに、自分の著作権は生まれるか

考え方の資料は、AIへの指示が表現に至らないアイデアにとどまる場合、その生成物に著作物性は認められないとしています。認められるかどうかは生成物ごとに、単なる労力を超えた創作的寄与がどれだけ積み重なっているかで判断されます。資料が挙げる判断の要素を、下の表にまとめました。

副業でこの話が関わってくるのは、依頼主が「納品物の著作権を譲渡してほしい」と求める契約です。生成物をそのまま使った部分に著作物性がなければ、その部分には譲り渡す著作権がありません。チェックリストは、AI生成物を著作物であることを前提に取引の対象とする場合、AIを使ったことや著作物性について関係者へ適切に説明するよう求めています。

AIで作ったものに、自分の著作権は生まれるか
作業考え方の資料での扱い(要約)
短い指示で1回生成し、そのまま使う指示がアイデアにとどまるなら、著作物性は認められないと考えられる
長い指示を書いた長くても、創作的表現に至らないアイデアを示すだけなら判断に影響しない
表現を具体的に示す詳細な指示を書いた創作的寄与があると評価される可能性を高める
何十回も生成した回数が多いこと自体は判断に影響しない
生成物を見て指示を直しながら繰り返した詳細な指示と組み合わせた試行なら、著作物性が認められることも考えられる
複数の案から1つを選んだ単なる選択は判断に影響しない
生成物に自分で加筆・修正した創作的表現といえる加筆・修正の部分は、通常著作物性が認められる。それ以外の部分には影響しない

演習:架空の副業依頼5件を仕分ける

ここからは、つくりてラボが作った架空の依頼5件で練習します。店名・作業内容はすべて架空で、実在の依頼や人物とは関係ありません。答えを見る前に、それぞれを「このまま使う」「直してから使う」「使わない」に分け、3つの質問のどれで引っかかるかをメモしてください。

【つくりてラボが作った架空の依頼】

依頼A パン屋のブログ記事1本
作業:ChatGPTに構成と下書きを頼み、店主から聞いた話を自分で書き足した。依頼主との契約に、AIの使用についての定めはない。

依頼B カフェのロゴ案3点
作業:プロンプトに人気アニメの作品名とキャラクター名を入れ、「このキャラ風のネコ」で画像を生成した。そのまま提出するつもり。

依頼C 雑貨店の商品説明文10点
作業:よその店のサイトの説明文をコピーしてAIに貼り、「言い換えて」と頼んだ。

依頼D 自分のSNSに載せる季節のイラスト
作業:「水彩風、桜並木、自転車に乗る少女」と指示して生成した。作品名や作家名は入れていない。

依頼E 素材販売サイトへの画像の出品
作業:AIで生成した風景画像に手を加えず、「手描きイラスト」として出品するつもり。

答え合わせ:仕分けの結果と直し方

下の表は、3つの質問に当てはめた答えの一例です。依頼主との契約や出品先の規約によって結論が変わる行もあります。自分の答えと違ったら、どの質問で判断が分かれたかを確かめてください。

依頼Cの判定には、チェックリストの別の記載が関わります。既存の作品をプロンプトとして入力すること自体は原則として著作権法第30条の4が適用されると考えられる一方、入力した作品と似たものを作らせる目的なら同条が適用されない場合があり、その場合は権利者の許諾が必要になる、という説明です。よその店の文を貼って言い換えさせるのは、この場合に近い使い方です。

答え合わせ:仕分けの結果と直し方
依頼判定引っかかる質問直し方
A ブログ記事直してから使う3つ目(依頼主への説明)AIを使った範囲を依頼主に伝えて了承を得る。店主の話と照らして事実を確かめ、特徴的な一文を検索して既存の文と似ていないかも見る
B ロゴ案使わない2つ目(既存作品との類似)作品名とキャラクター名を外して作り直す。画像検索で似た既存作品がないか確かめ、プロンプトを記録してから提出する
C 商品説明文使わない2つ目(既存作品との類似)よその店の文は貼らない。商品の実物や依頼主の資料から特徴を自分で書き出し、それを材料に下書きを頼む
D 季節のイラストこのまま使う候補2つ目の確認だけ残る投稿前に画像検索で似た作品がないか見る。プロンプトと生成日を記録しておく
E 素材の出品使わない1つ目(サービスの規約)AIで作ったものを「手描き」と表示するのは、表の4社がいずれも規約で禁止・制限している行為。AI生成と明記し、出品先の規約でAI生成物の扱いも確かめる

公開・納品の前に通す確認

チェックリストは、生成物を使う前にまず既存の作品と似ていないかを確認するよう求め、その方法としてインターネット検索(文章検索・画像検索)の活用を挙げています。文章なら、言い回しに特徴のある一文を引用符で囲んで検索します。画像なら画像検索に生成物をかけ、構図や人物の描き方がよく似た作品が出てこないかを見ます。

検索で何も見つからなくても、似た作品が存在しないという証明にはなりません。それでも、確認した日と方法を残しておけば、あとで問い合わせを受けたときに説明する材料になります。チェックリストは、依拠性がないことを説明できるよう、生成に使ったプロンプトなど生成の過程を確認できる状態にしておくことも勧めています。

  • 使ったサービスの利用規約を開き、確認した日を記録した
  • プロンプトに、既存の作品名・キャラクター名・作家名を入れていない
  • 他人の文章や画像を貼って「似たものを作って」と頼んでいない
  • 文章は特徴的な一文を、画像は生成物そのものを検索にかけた
  • AIで作った部分を、人が作ったものとして表示していない
  • 依頼主との契約書と、出品先・掲載先の規約にAIの定めがあるか読んだ
  • プロンプト、生成日、自分で直した箇所を記録に残した

記録の残し方:1件ごとに5行

記録は凝った形式でなくて構いません。生成物1件につき、使ったサービス、プロンプト、類似の確認、自分で加えた修正、依頼主への説明の5行があれば、あとで振り返れます。下はつくりてラボが作った架空の記録例です。記事末のワークシートにも同じ項目の列を用意しました。

プロンプトの記録は、類似の問い合わせへの備えだけに使うものでもありません。考え方の資料では、著作物性は利用者の創作意図と創作的寄与の程度で判断されるとされ、チェックリストは著作物性を関係者へ説明する観点からもプロンプトを確認できる状態にしておくよう勧めています。依頼主から「どこまでが自分で作った部分か」と聞かれたときに、指示の履歴と自分の修正箇所を見せられれば、答えが具体的になります。

【架空の記録例:依頼Dのイラスト】
サービスと規約:画像生成に使ったサービス名/利用規約を9月27日に確認
プロンプト:水彩風、桜並木、自転車に乗る少女(作品名・作家名なし)
類似の確認:9月27日、画像検索で構図の近い作品が出ないことを確認
自分の修正:空の色を描き直し、自転車のかごを描き足した
説明:自分のSNSに投稿。投稿文に「AIで生成した画像に加筆」と記載

よくある思い込みと、資料に書かれていること

判断を誤りやすい思い込みを5つ並べ、文化庁の資料と各社の規約の記載を横に置きました。左の列の考え方で判断していたら、右の列の方法に切り替えてください。

よくある思い込みと、資料に書かれていること
思い込み資料に書かれていること代わりにやること
規約に「出力はあなたのもの」とあるから、何に使っても大丈夫OpenAIとAnthropicは、権利がある場合に譲渡すると書いている。他人の作品の権利は規約では消えない既存作品との類似を検索で確かめる
画風をまねただけなら問題ない作風や画風が似ているだけなら侵害にならないと整理される一方、表現まで共通すれば別作家名や作品名をプロンプトに入れない
元の作品を知らなければ侵害にならない利用者が既存の作品を知らなくても、侵害になることがある知らない作品との類似も想定して検索する
何十回も生成して選んだから、自分の著作物になる試行回数の多さや、単なる選択は判断に影響しない自分の著作物として扱いたい部分は、自分で加筆・修正する
自分用に作った画像だから、公開しても同じ私的使用の生成と、配信や譲渡などの利用とでは判断が異なり得る公開する時点で、類似の確認をやり直す

依頼主にAIの使用を伝える文例

契約書にAIの定めがなくても、使った範囲は納品前に伝えておくと、あとで食い違いが起きにくくなります。依頼主が著作権の譲渡を求めている場合は特に、生成物のどこに著作権が生まれうるかで話が変わるため、先に相談しておきましょう。

下の文例は、つくりてラボが作った架空のものです。依頼の内容に合わせて、AIを使った作業と自分で行った作業を具体的に書き分けてください。マッチングサービス経由の依頼なら、そのサービスの規約にAIの扱いが書かれていないかも読んでおきます。

【依頼主への連絡の例(架空)】
記事の作成にあたり、構成案と下書きの一部に生成AI(サービス名)を使いました。
店主さまから伺ったお話の部分と、全体の書き直しは私が行っています。
公開前に、特徴的な文を検索し、既存の記事と似た表現がないことを確認しました。
契約で「著作権の譲渡」とされている点について、AIで生成したままの部分の扱いをご相談させてください。
AIの使用に差し支えがあれば、使わない形で作り直します。

この悩みに、スクールは要るか

規約と文化庁の資料は無料で公開されています。この記事の3つの質問と確認の手順を使えば、生成物を使ってよいかの判断は独学で身につけられる範囲です。著作権の確認のためだけにスクールへ申し込む必要はありません。個別の契約の読み方で迷うなら、相談先はスクールより専門家です。

スクールを比べる意味が出てくるのはその先で、生成物を自分の表現として仕上げる加筆や編集の技能を、課題として講師に見てもらいたい場合です。相談の場では、課題で作った生成物をポートフォリオに載せてよいか、講座の中でAI生成物と著作権の扱いを説明しているかを聞いてください。

つくれる作品を、見てみよう。

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