MAKE IT YOURS · 最初に任せる業務

読んで、試して、
自分の学びを選ぼう。

  1. 011週間の作業を書き出す
  2. 024つの質問で最初の1件を選ぶ
  3. 03依頼して、出力を元のメモと照らす

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頼むことが浮かばないのは、仕事がまだ「作業」に分かれていないから

ChatGPTのアカウントを作り、入力欄を開いた。けれど何を打てばいいのか浮かばず、天気や料理の質問をいくつか試して閉じてしまう。職場で「AIを使ってみて」と言われた人から、こうした話をよく聞きます。

手が止まる理由の多くは、AIの使い方より手前にあります。「総務の仕事」「営業事務」のような大きなまとまりのままでは、どこを頼めるのか見えません。案内文の下書き、会議メモの整理、表の見出しづくりといった単位まで分けると、頼めるものと頼めないものの区別がつき始めます。

この記事は、使い始めたばかりで最初の一件を決められずにいる人に向けて書きました。読み終えたときに、自分の1週間の作業から最初にAIへ任せる1件を選び、その理由を説明できる状態を目指します。選んだ作業で実際に依頼し、出力を元の材料と照らし合わせるところまで進めます。

題材は、つくりてラボが作った架空の事務担当者の作業リストです。実在の会社や人物とは関係ありません。記事中のAIの出力はすべて当サイトが想定して書いた「例」で、特定のサービスで実行した結果ではありません。

まず1週間の作業を書き出す:架空の事務担当者のリスト

下のリストは、社員20人ほどの小さな設計事務所で事務を担当している人が、ある1週間の作業を書き出したという設定の架空の例です。書き方は、1行に1つ、動詞で終わる形。「総務」と書かずに「備品の発注をまとめる」と書いておけば、あとの仕分けで迷う場面が減ります。

自分の分を書くときは、手帳や送信済みメール、カレンダーを見返してください。頭の中だけで思い出そうとすると、毎週あるのに短時間で終わる作業ほど抜け落ちます。最初の候補は、そうした小さな作業の中によく隠れているものです。

【つくりてラボが作った架空の例:事務担当者の1週間の作業】
1. 月曜の定例会議のメモを、共有用に整える
2. 備品の発注希望を集めて、社内に締め切りを案内する
3. 取引先から届いた請求書の金額を、発注書と突き合わせる
4. 来月の健康診断の日程を、社員に案内する文を書く
5. 新しく入る人向けに、社内の共有フォルダの使い方をまとめる
6. 顧客名簿の表記ゆれ(株式会社の位置など)を直す
7. 使えそうな補助金の最新情報を調べて、所長に伝える
8. 取引先からの日程調整メールに返信する
9. 経費精算の規程について、社員からの質問に答える
10. 来客用の会議室の予約状況を表にまとめる

最初の1件を選ぶ4つの質問

書き出した作業を、次の4つの質問で1件ずつ見ていきます。質問の順番にも意味があります。1つ目の答え合わせの材料がない作業は、出力が合っているかを自分で判断できないため、ほかの3つがそろっていても最初の1件からは外します。

2つ目の「最初の読み手」は、間違いが誰の目に触れるかを見る質問です。自分が最初に読む下書きなら、誤りに気づいた時点で直せます。社外の人がそのまま読む文面は、送った後で取り消すのが難しくなります。

3つ目は入れる情報の区分です。個人名や取引条件を含む材料を、どのサービスにどこまで入れてよいかは勤務先の決まりで変わります。迷う材料が多い作業は、判断に時間がかかるうえ、慣れないうちは判断を誤りやすくなります。最初は、そのまま入れても差し支えない材料だけで済む作業を選んでください。

4つ目の繰り返しは、選んだ1件を練習台として何度使えるかを見ています。毎週ある作業なら、翌週に同じ依頼をもう一度試し、前回の直しが生きたかを確かめられます。

最初の1件を選ぶ4つの質問
質問見ていること「はい」になる例
1. 答え合わせの材料が手元にあるか出力を何と照らせば正誤が分かるか元の会議メモ、前回の案内文、規程の原文がある
2. 最初の読み手は自分か誤りが外に出る前に止められるか自分が読んで直してから、社内に回す
3. そのまま入れてよい材料だけで済むか個人情報や社外秘を含むか日付と場所だけの案内、個人名のない手順
4. 同じ形で繰り返すか翌週以降も練習に使えるか毎週・毎月、ほぼ同じ形で発生する

架空の作業リストを4つの質問で仕分ける

前の節のリスト10件を、4つの質問で仕分けたのが下の表です。当てはまるものに○、当てはまらないものに×、条件しだいで変わるものに△をつけました。判定は当サイトがこの架空の職場を想定してつけたもので、実際の職場では決まりや業務の中身によって変わります。

4つとも○になったのは、2番の備品発注の案内と、4番の健康診断の案内です。どちらも前回の案内文という答え合わせの材料があり、自分が読んでから社内に回せます。日付と締め切り以外に個人の情報を含まず、決まった時期にほぼ同じ形で発生します。この記事では、材料が少なく照合しやすい2番を最初の1件に選びました。

自分のリストで○が4つそろう作業が見つからないときは、×のついた質問だけを変えられないか考えます。たとえば1番の会議メモは、参加者の名前を役職に置き換えれば3つ目の質問が○に変わります。名前や数字を伏せる加工は、架空の社内資料を仕分ける関連記事で練習できます。

架空の作業リストを4つの質問で仕分ける
作業1.材料2.読み手3.入れる情報4.繰り返し判定
1. 定例会議のメモを整える○○△(参加者名を含む)○加工すれば候補
2. 備品発注の締め切りを案内○○○○最初の1件
3. 請求書と発注書の突き合わせ○○×(取引条件)○後回し
4. 健康診断の日程を案内○○○○次の候補
5. 共有フォルダの使い方をまとめる△(手順が頭の中)○○×後回し
6. 顧客名簿の表記ゆれを直す○○×(個人情報)△任せない
7. 補助金の最新情報を調べる×(照らす材料がない)○○×任せない
8. 取引先への日程調整の返信○×(社外が読む)△○慣れてから
9. 経費精算の規程の質問に答える○(規程の原文)×(社員が読む)△△慣れてから
10. 会議室の予約状況を表にする○○○○候補(表の練習)

答え合わせ:判定を間違えやすい3件

仕分けの練習で判定が分かれやすいのが、7番・9番・3番の3件です。自分の判定と表が違った人は、理由を読んでから自分のリストを見直してください。

7番の補助金調べは、文章を書く手間が少なく、最初に試したくなる作業です。ただ、答え合わせの材料がありません。OpenAIの公式ヘルプは、モデルは特定の時点までのデータで訓練されており、ツールを使わない限りそれ以降の出来事は回答に反映されないと説明しています。検索機能を使って出典付きの回答が出ても、制度の要件や締め切りは公募要領の原文で確かめる必要があり、慣れないうちは確認の手間のほうが大きくなります。

9番の経費精算の質問は、規程の原文という材料があるので○が1つ増えます。それでも最初の1件にしないのは、読み手が質問した社員だからです。AIが規程にない例外を足して答え、それを担当者の回答として伝えてしまうと、あとで訂正が必要になります。規程の該当箇所を探す手伝いから始め、答えの文面は自分で書く、という分け方なら早めに試せます。

3番の請求書の突き合わせは、材料も繰り返しもそろっています。止まるのは3つ目の質問で、取引先名や金額、取引条件をそのまま入れてよいかは勤務先の決まりしだいです。個人情報保護委員会は、事業者が個人情報を含むプロンプトを入力する場合、利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確認するよう注意を呼びかけています。決まりを確かめるまでは、後回しにしておくのが無難です。

○が足りない作業は、頼む範囲を狭めて候補に戻す

仕分けで「後回し」や「慣れてから」になった作業も、作業全体をAIに渡すのをやめ、一部だけを頼む形に変えると○が増えることがあります。質問の答えを変えているのは作業そのものではなく、AIに渡す範囲です。

下の表は、架空のリストのうち3件について、頼む範囲を狭めた例です。5番の共有フォルダの使い方は、手順が自分の頭の中にしかないため、1つ目の質問が△でした。先に自分で手順を箇条書きにしてから、その箇条書きを新人向けの文章に整えてもらう形にすれば、自分のメモが答え合わせの材料になります。

8番の日程調整の返信は、社外の人が読むので2つ目の質問が×でした。返信の全文を頼むのをやめ、候補日を並べる文の骨組みだけを作ってもらい、日付と相手の名前は自分で入れてから送ります。こう分ければ、社外に出る文面の最終版を書くのは自分です。

範囲を狭めると、AIに任せる時間は減ります。そのかわり、照らす箇所が少なくなり、1回の依頼にかかる確認の手間も小さくなります。最初の数週間は、任せる量を増やすことより、照らして直す流れを何度も回すことを優先してください。

○が足りない作業は、頼む範囲を狭めて候補に戻す
作業全体を頼むと狭めた頼み方変わった質問
5. 共有フォルダの使い方手順が材料にない(△)自分で書いた手順の箇条書きを、新人向けの文章に整える1.材料が○になる
8. 日程調整の返信社外が最初の読み手(×)候補日を並べる文の骨組みだけ作り、日付と宛名は自分で入れる2.読み手の最終確認が自分になる
1. 定例会議のメモ参加者名を含む(△)名前を役職に置き換えたメモから、決定事項と宿題だけを抜き出す3.入れる情報が○になる

選んだ作業で最初の依頼を書く

最初の1件に選んだ備品発注の案内で、依頼文を書いてみます。材料は、今回の発注の条件を書いた自分用のメモです。前回の案内文があれば一緒に貼ると、社内でふだん使っている言い回しに寄せやすくなります。

依頼文には、誰が読むか、材料はどれか、どんな形で出してほしいか、書いてほしくないことは何かを入れます。慣れないうちは、下の例の4つの見出しをそのまま使っても構いません。最後の1行で、材料と照らす箇所を一覧にしてもらっています。これは照合を人が行うための準備で、AIに正しさを保証させる指示ではありません。

【つくりてラボが作った架空の例:自分用のメモ】
・備品の発注希望は、来週水曜の17時までに総務へ。
・共有フォルダの「備品発注」シートに記入。口頭やチャットでの依頼は受けない。
・今回はプリンターのトナーの在庫が少ないので、必要な人は早めに。
・届くのは発注の翌週の予定。確定したらまた連絡する。

【依頼文】
社員向けに、社内チャットに貼る備品発注の案内文の下書きを作ってください。

材料:上のメモに書かれた事実だけを使ってください。
形式:最初に締め切りを1行で書き、そのあと記入方法、注意点、届く時期の順に箇条書きで短く書く。
書かないこと:メモにない日付や曜日、「必ず届きます」などの約束、前置きの挨拶。
最後に:メモと照らし合わせてほしい箇所(日付・時刻・記入先・届く時期)を一覧で出してください。

出力例をメモと照らし合わせる

下の表は、当サイトが想定した出力例をメモの事実と並べたものです。特定のサービスで実行した結果とは違う点に注意してください。自分で試すときは、右から2列目のメモの事実を正解として、手元のAIの出力を1行ずつ照らしてください。

想定した出力例では、締め切りの「来週水曜」に具体的な日付が足されていました。メモに日付がないため、AIがカレンダーを推測して書いた形です。届く時期も「翌週には届きます」と言い切られ、確定したら連絡するという条件が落ちています。どちらも文章としては自然で、急いで読むと見落としやすい箇所です。

ずれを見つけたら、依頼文のどこを直すかを表の右端に書いてください。日付の推測は「書かないこと」の欄に具体的に足し、条件の脱落は「形式」の欄で条件を残すよう指定します。ただし、1回の直しで変えるのは1か所だけにしてください。そうすれば、次の出力で何が効いたのかを追えます。依頼文を型として保存し、直した記録を残す方法は、関連記事の「プロンプトを毎回書き直さない」で扱っています。

出力例をメモと照らし合わせる
照らす項目出力例(想定)メモの事実依頼文の直し方
締め切り9月30日(水)17時まで来週水曜の17時まで(日付は書いていない)書かないことに「メモにない日付を足さない」を明記
記入先共有フォルダの「備品発注」シート同じ直さない
口頭での依頼書かれていない口頭やチャットでは受けない形式に「受け付けない方法も書く」を足す
届く時期翌週には届きます翌週の予定。確定したら再度連絡形式に「予定と確定を分けて書く」を足す
冒頭見出しの締め切りから始まる挨拶は不要直さない

2週目以降に広げる順番

最初の1件で、依頼して照らして直す流れを2〜3回繰り返せたら、次の作業に広げます。広げる順番は、答え合わせの材料がはっきりしている作業から、自分の判断が多く入る作業へ進めると迷いません。下の表は、架空のリストに当てはめた順番の例です。

表の右端にある「照らす材料」が、各段階で出力の正誤を決める相手です。段階が進むほど材料は長く、照らす箇所も増えます。前の段階で照合に時間がかかりすぎているなら、次へ進む前に同じ段階の作業をもう1件試してください。

2週目以降に広げる順番
段階架空リストでの作業AIに頼む範囲照らす材料
1. 決まった形の社内向け案内2番・4番メモから案内文の下書き自分用のメモ、前回の案内文
2. 表の形を整える10番予約の一覧から表の見出しと並べ方元の予約の一覧
3. 名前を伏せた記録の整理1番役職に置き換えたメモから決定事項と宿題の抜き出し元の会議メモ
4. 原文から該当箇所を探す9番規程のどの条に書いてあるかを探す手伝い規程の原文
5. 社外に出す文面の下書き8番返信の下書き(送信は自分で判断)相手のメール、確定している予定

最初に任せないほうがよい作業と、その理由

4つの質問で×がついた作業のうち、とくに最初の段階で避けたいものを3つに分けておきます。1つ目は、最新の制度や価格、人事や法令のように、答え合わせの材料が手元にない調べ物です。OpenAIのヘルプは、ChatGPTを最終的な情報源ではなく初稿として使い、引用やデータは必ず検証するよう勧めています。AnthropicのヘルプもClaudeを唯一の真実の情報源として頼るべきではないと書いており、提供元がそろって確認を求めている領域です。

2つ目は、名簿や取引条件のように、入れてよいかの判断そのものが勤務先の決まりに左右される材料を扱う作業です。3つ目は、社外の人が最初の読み手になる文面で、AIの下書きをそのまま送ると、誤りが相手の手元で見つかります。どれも慣れたら扱えるようになる作業で、最初の1件に選ばないというだけです。

反対に、AIを使わずに済む作業もリストには混じっています。2〜3分で終わる返信や、材料を集めるほうに時間がかかる作業は、依頼文を書いて照らす手間のほうが大きくなります。全部の作業をAIに回す必要はありません。

  • 作業を「動詞で終わる1行」の単位まで分けたか
  • 最初の1件に、答え合わせの材料が手元にあるか
  • 最初の1件は、自分が最初の読み手になる作業か
  • 入れる材料に、個人情報や社外秘が含まれていないか
  • 翌週以降も同じ形で繰り返し練習できる作業か
  • 出力を元のメモと1行ずつ照らしたか
  • 直すときに、依頼文の1か所だけを変えたか

独学で足りる人、人に見てもらったほうが進む人

この記事の手順で最初の1件を選び、2〜3回の依頼と照合を記入用シートに残せているなら、しばらくは独学で進めて構いません。同じ段階の作業を1件ずつ増やしていけば、どこまで任せられるかの感覚は自分の業務の中で育ちます。スクールに通わなくても進められる人は多いはずです。

一方で、作業を書き出しても4つの質問にどう答えればよいか判断がつかない、照らしてもずれに気づけない、という状態が続くこともあります。その場合は、自分の作業リストと依頼文を人に見てもらう機会があると、止まっている場所が分かります。スクールの説明会や無料相談では、受講者の業務に近い題材を使う課題があるか、出力の確かめ方まで講師が見てくれるかを聞いてみてください。記入用シートを見せながら質問すると、相手にもどこで止まっているかが伝わります。

出力の確かめ方をさらに練習したい人は、関連記事の「AIの答えが正しいか分からないときの確かめ方」も使えます。講座の比較は、AI分野のページから目的別に選べます。

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