この記事で試すこと

  1. 01勤務先のルールと使える時間を確かめる
  2. 02作業をAIの下書きと自分の確認に分ける
  3. 03依頼を3つに仕分け、確認の質問を送る
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この記事で決めること:どの依頼なら引き受けられるか

ChatGPTやGeminiを使えば副業ができると聞いたものの、何を引き受けてよくて、何はAIに任せられないのかが分からない。そんな会社員や学生に向けた記事です。読み終えたときには、気になっている依頼を「いまの自分で受けられる」「確かめてから受ける」「受けない」に分け、受ける前に確かめることを書き出せる状態を目指します。

収入の見込みや、作業ごとの相場はこの記事に載せていません。依頼の単価は作業内容や依頼主、時期によって大きく変わり、つくりてラボは裏付けのある数字を持っていないためです。かわりに、作業をAIに任せる部分と自分が責任を持つ部分に分ける手順と、始める前に公的な資料で確かめておく点をまとめました。

始める前に確かめる3つ:勤務先のルール、確定申告、使える時間

会社に勤めながら副業をするなら、AIの練習より先に勤務先の就業規則を開いてください。厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月改定)は、副業を希望する労働者はまず勤め先の副業に関するルール(労働契約、就業規則等)を確認し、それに照らして業務内容や就業時間が適切な副業を選ぶ必要があると書いています。

同じガイドラインは、裁判例で企業が副業を制限できると解されている場合として4つを挙げています。労務提供上の支障がある場合、業務上の秘密が漏洩する場合、競業により自社の利益が害される場合、そして自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合です。AIを使う副業で特に気をつけたいのは2つ目でしょう。本業の資料や顧客の情報を副業の作業のためにAIへ貼り付ければ、まさにこの秘密の扱いの問題になります。

税金の手続きも始める前に知っておきます。国税庁のタックスアンサーNo.1900によると、給与を1か所から受けていて全部が源泉徴収の対象になる人でも、給与所得と退職所得以外の所得の合計額が一定額を超えれば確定申告が必要です(2026年10月4日、国税庁のタックスアンサーで確認)。基準の金額や例外はページに書かれているので、副業の所得が出始めた時点で直接読んでください。

残る1つは時間の確保です。ガイドラインは、副業による過労で健康を害したり本業に支障を来したりしないよう、労働者自身が業務量や費やす時間、健康状態を管理する必要があるとしています。AIで下書きが速くなっても、確認と修正にかかる時間は残ります。本業と睡眠を削らずに週何時間使えるかを、依頼を探す前に決めておきましょう。

参考リンク

作業を「AIが下書きできる部分」と「自分が責任を持つ部分」に分ける

副業として募集されることの多い作業を6つ選び、AIに下書きを任せやすい部分と、納品する人が引き受ける部分に分けました。表はつくりてラボの整理です。どのAIサービスでも同じように下書きができると確かめたものではありません。

どの行を見ても、右の2列はAIが代わりに引き受けてくれない部分です。クラウドワークスが公表している「AI活用に関するポリシー」も、ワーカーに対して、AIの利用の有無にかかわらずクライアントと合意した品質基準を守るよう求めています。AIで短くなるのは下書きまでで、納品物の責任は使った人に残る。この前提で表を読むと、自分がどの作業を引き受けられるかが見えてきます。

作業を「AIが下書きできる部分」と「自分が責任を持つ部分」に分ける
作業AIに下書きを任せやすい部分自分が確かめる・決める部分先に持っておきたい基礎
記事・ブログの執筆構成案、見出しの候補、下書き、言い回しの候補事実と数字の確認、依頼主の指定(字数・表記・禁止事項)との照合、既存の文章と似ていないかの確認文章を読みやすく直す力、出典を探す力
文字起こし・議事録音声の文字化、要点の箇条書き聞き取り違いと固有名詞の修正、発言者の区別、要約で抜けた決定事項の確認元の音声と突き合わせる手間を惜しまないこと、その業界の用語
SNS投稿文投稿文の案、言い換えの候補、ハッシュタグの案依頼主の口調や方針に合うか、大げさな表現や事実の誤りがないか、投稿の時期依頼主の商品・サービスの理解
画像素材・バナーラフ案、背景や素材の生成既存作品との類似、文字やロゴの正確さ、依頼条件にあるAI利用の可否画像編集ソフトで直す技術、デザインの基本
翻訳下訳誤訳と訳抜けの確認、専門用語の統一、読み手に合わせた表現両方の言語を読む力、その分野の知識
Excel・データ整理関数や集計方法の案、マクロの下書き計算結果の検算、元データ(機密・個人情報)の扱い、依頼主の環境で動くか表計算の基本操作、検算のやり方

参考リンク

AIに任せられない仕事:依頼主とのやり取りと、預かった情報の扱い

表の右の列のほかにも、AIが代わりにできない仕事が3つあります。依頼のあいまいな点を質問して決めること、納期と修正の回数を約束して守ること、預かった情報を外へ出さないことです。

このうち見落としやすいのが3つ目です。クラウドワークスのポリシーは、クライアント情報や案件情報など機密性の高い事項をAIツールなどの外部ツールに入力・アップロードするときは、情報の取り扱いに留意するよう求めています。依頼主から受け取った顧客名簿や未公開の資料は、依頼主の了承を得て、使うAIサービスの入力データの扱いを確かめてから入れてください。どの情報なら入れてよいかの考え方は、会社の情報の入力を扱った記事で練習できます。

AIを使ったことを依頼主へ伝える仕組みは、仲介サービスごとに用意されています。ランサーズは2024年2月、クライアントが依頼の作成時に生成AIの使用許可・制限を選べる機能を告知しました。ランサーは提案時に生成AIの使用の有無を申告でき、使った提案には「AIで生成」のラベルが付くと説明しています。クラウドワークスのポリシーも、AIの利用可否を事前にクライアントへ確認し、利用を意図的に隠さないようワーカーに求めています。

参考リンク

演習:架空の依頼6件を仕分ける

ここからは、つくりてラボが作った架空の依頼6件で練習します。依頼主も内容もすべて架空で、実在の募集とは関係ありません。読み手は「会社員で、文章を書くのは苦にならないが、画像編集と翻訳の経験はない」人と仮定しました。それぞれを「受けられる」「確かめてから受ける」「受けない」に分け、理由をメモしてから次の節へ進んでください。

具体例
【つくりてラボが作った架空の依頼】

依頼1 地域の工務店のブログ記事(月4本)
条件:構成と下書きにAIを使ってよい。施工事例の写真と担当者のメモは依頼主が渡す。字数と表記のルールがある。

依頼2 オンライン会議の議事録作成
条件:録音データを渡す。AIの文字起こしツールを使ってよいかは書かれていない。参加者には社外の取引先が含まれる。

依頼3 カフェのロゴ制作(コンペ形式)
条件:「生成AIの使用不可」と明記されている。

依頼4 英語の製品マニュアルの日本語訳
条件:専門用語の多い機械の説明書。「AI翻訳を使ってよいが、誤訳の責任は受注者が負う」と書かれている。

依頼5 「AIで記事を量産するだけ」の在宅ワーク
条件:応募すると、作業を始める前に「専用ツールと教材」の購入を求められる。仕事の詳しい内容は購入後に説明するという。

依頼6 SNS投稿文の作成
条件:AIの使用は自由。依頼主は、自分の勤め先と同じ業界で、勤め先と取引先を取り合っている会社。

答え合わせ:仕分けの結果と、受ける前にすること

下の表は、仮定した読み手にとっての答えの一例です。経験や勤務先のルールが違えば、結論が変わる行もあります。自分の答えと違ったところは、どの理由で分かれたかを確かめてください。

依頼5で問題になるのは作業の中身より、仕事の前にお金を払わせる流れです。国民生活センターは、副業で報酬を得るためにまず振り込みを求められたという相談が増えているとして、お金を稼ぐはずが振り込みを求められたら消費生活センター等に相談するよう呼びかけています。

答え合わせ:仕分けの結果と、受ける前にすること
依頼判定理由受ける前にすること
1 工務店のブログ受けられるAIの利用が認められ、事実の材料(写真とメモ)は依頼主が出す。必要なのは文章を直す力で、仮定した読み手は持っている表記ルールを読み、下書きの事実をメモと照らす手順を決めてから1本目に入る
2 会議の議事録確かめてから受けるAIツールを使ってよいか書かれていない。社外の取引先の発言という機密性の高い情報を扱う文字起こしツールの使用可否と、録音データを外部のサービスに入れてよい範囲を依頼主に質問する
3 カフェのロゴ受けないAIの使用が禁止されていて、自分の手で仕上げる画像編集の技術を読み手が持っていない応募するなら、画像編集とデザインの基本を先に学ぶ
4 マニュアルの翻訳いまは受けない下訳はAIで作れても、誤訳を見つけるには英語と機械の知識が要る。責任は受注者が負う自分が内容を理解できる分野の翻訳から始める
5 記事の量産受けない仕事の前に購入を求め、詳しい内容は後から説明する。国民生活センターが注意を呼びかけている流れと同じ支払わない。困ったら消費者ホットライン188に相談する
6 SNS投稿文勤務先に確かめるまで受けない勤め先と取引先を取り合う会社の仕事で、ガイドラインが挙げる「競業」や「業務上の秘密」の問題に当たるおそれがある就業規則を読み、必要なら勤務先に申請・相談する

参考リンク

応募の前に、依頼主へ送る確認の例

「確かめてから受ける」に分けた依頼は、応募の時点で質問しておくと、納品後に食い違いが見つかる事態を防げます。下は依頼2を想定して、つくりてラボが作った確認メッセージの例です。

納品物の著作権を譲ってほしいと書かれた依頼では、AIで作った部分の扱いも確かめます。AIの生成物の権利と依頼主への説明の仕方は、別の記事で架空の依頼5件を使って練習できます。

具体例
【つくりてラボが作った確認メッセージの例】

ご依頼の議事録作成について、応募の前に3点確認させてください。

1. 文字起こしに、音声を文字にするAIツールを使ってもよいでしょうか。使う場合は、ツール名を事前にお知らせします。
2. 録音には取引先の方の発言が含まれると思います。外部のサービスにアップロードしてよい範囲を教えてください。
3. 固有名詞と数字は、お渡しいただく資料と照らして確認します。資料がない部分は、確認できなかった箇所に印を付けて納品してもよいでしょうか。

参考リンク

「AIで簡単に稼げる」という勧誘の見分け方

AIの副業を探し始めると、「スマホだけ」「1日数分」といった広告が目に入ります。国民生活センターは2023年10月、「簡単に稼げる」「もうかる」ことを強調する広告やランキングサイトをうのみにしないこと、作業内容や利益が出る仕組みがよく分からなければ契約しないことを呼びかけました。2024年9月の発表では、簡単な作業で稼げるとうたう副業のトラブル相談が2023年度に3,694件寄せられたとしています(2026年10月4日、国民生活センターの発表で確認)。

AIという言葉そのものが勧誘に使われた例もあります。消費者庁が2025年12月19日に公表した注意喚起では、在宅のデータ入力の求人に応募した人が、面接で「このような作業は、今時はAIが実施するので、これだけだと稼げない」などと説明され、求人とは別の業務のための高額なコンサルティング契約を勧められた事例が紹介されました。

次の表は、これらの資料の事例をもとに、勧誘の言い方と取る行動を並べたものです。少しでもおかしいと感じたら、消費者ホットライン「188」に電話すれば、最寄りの消費生活センター等を案内してもらえます。

「AIで簡単に稼げる」という勧誘の見分け方
勧誘の言い方・流れ公的資料での扱い取る行動
「簡単」「スキマ時間」「スマホだけ」を強調する国民生活センターは、気軽さやメリットだけを強調した文言をうのみにしないよう呼びかけている作業の中身と、依頼主がどこの誰かを具体的に聞く
仕事の説明より先に、マニュアルや教材、ツールを買わせる国民生活センターの相談事例に、仕事内容を知るにはマニュアルの購入が必要だと言われた例がある支払う前にやめる。事業者の名前と連絡先を調べる
報酬を受け取るために、まず振り込みを求める国民生活センターは、振り込みを求められたら消費生活センター等に相談するよう呼びかけている振り込まない。188か警察相談専用電話「#9110」に相談する
「単純作業はAIがやるから」と、別の高額な契約へ誘う消費者庁の注意喚起に、求人と異なる業務の高額なコンサルティング契約を勧められた事例があるその場で契約しない。求人と説明が食い違った時点で応募をやめる

参考リンク

最初の4週間でやること:依頼を受ける前の練習

依頼を受ける前に、架空の題材で作業を一通り経験しておくと、自分がどこに時間を使うかが分かります。下の計画は一例です。最初に決めた週の時間の上限に収まるよう、作業の量を調整してください。

記録には記事末のワークシートを使います。作業ごとに、AIに任せた部分、自分で確かめた部分、かかった時間を書いておけば、4週目には、どの作業なら自分の時間で引き受けられるかを記録をもとに判断できます。

最初の4週間でやること:依頼を受ける前の練習
週やること終わったら手元に残るもの
1週目勤務先の就業規則を読み、使える時間の上限を決める。上の表の6作業から試すものを2つ選ぶ就業規則の確認メモ、週の時間の上限
2週目自分で作った架空の題材(会議メモや商品の説明など)で、AIの下書きから納品できる形まで仕上げる作業記録2件、確認にかかった時間
3週目仕上げたものを、事実・表記・既存の作品との類似の3点で点検し直し、見つかった誤りの種類を書き出す自分がつまずきやすい点の一覧
4週目仲介サービスの募集を読み、この記事の3分類で仕分ける。応募するなら確認メッセージを用意する仕分けた募集の一覧、確認メッセージの下書き

独学で足りる人と、学ぶ場を選んだほうが早い人

すでに文章作成やExcel作業を仕事でしていて、それをAIで速くしたいだけなら、独学で始められます。各AIサービスの公式ヘルプとこの記事の手順があれば、下書きと確認の流れは組み立てられるはずです。有料の講座や教材を買うのは、無料版で4週間の練習をしてからでも遅くありません。

表の「先に持っておきたい基礎」をまだ持っていない作業に挑みたい人は、事情が違います。AIの使い方より先に、その基礎を身につける必要があるからです。仕上がりを誰にも見てもらえないまま練習を続けると、どこを直せば納品できる水準になるのかが分からず、時間だけが過ぎていきます。添削や質問の仕組みがある学び方なら、その判断を人に確かめられます。

学ぶ場を比べるとき、受講後の収入を約束する説明は判断の材料から外してください。そうした説明があれば、根拠と条件を書面で確かめます。比べるのは、添削の回数と期間、質問できる範囲、案件の紹介があるならその条件で、どれも無料相談で具体的に聞けます。

確認リスト

  • 勤務先の就業規則で、副業のルールを確かめた
  • 本業の資料や顧客の情報を、副業の作業でAIに入れない
  • 副業に使える週の時間の上限を決めた
  • 引き受ける作業ごとに、自分が確かめる部分を書き出した
  • 依頼文でAIの利用可否を確かめ、書かれていなければ質問した
  • 預かった情報をAIサービスに入れてよいか、依頼主に確かめた
  • 仕事の前にお金を払わせる募集には応募しない
  • 副業の所得が出たら、国税庁のタックスアンサーNo.1900で確定申告が必要か確かめる

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