この記事で試すこと

  1. 01資格を見せる相手と、その相手が書類で求めているものを書き出す
  2. 02試験範囲で学べる知識と、試験の外で練習する作業を分ける
  3. 03次の試験のシラバスの版と申込期限を確かめてから決める
自分の条件を書き出す

登録不要の記入用CSV。Excelなどで開いて使えます。

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資格を取れば、AIを使える人だと認めてもらえるのか

生成AIを仕事で使い始めた人や、これから学ぼうとしている人から、AIの資格を取るべきかという相談がよく届きます。勉強の目標が欲しい人もいれば、転職や社内の評価で有利になるかを気にしている人もいます。どちらの場合も、受験料と勉強の時間をかける前に、取ったあと何が変わるのかを知りたいという点は同じです。

この記事では、名前を聞くことの多いG検定と生成AIパスポートを取り上げます。主催団体の公式ページで範囲と形式を確かめ、試験で確かめられる知識と、試験では確かめられない作業を分けました。読み終えたら、自分の目的に資格が合うか、合うならどちらを受け、試験の外で何を練習するかを決められるようにしています。

途中に出てくる3人の相談者、求人票、練習課題、ワークシートの記入例は、どれもつくりてラボが作った架空の例です。実在の人物や企業、受験者の声ではありません。試験の難しさや合格に必要な勉強時間は、公式ページで確かめられなかったため書いていません。

G検定と生成AIパスポートの範囲と形式を、公式ページで比べる

G検定は、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施する試験です。公式ページでは「AI・ディープラーニングの活用リテラシー習得のための検定試験」と説明されています。シラバスは技術分野と法律・倫理分野に分かれ、機械学習やディープラーニングの仕組みから、個人情報保護法や著作権法、AIガバナンスまでが並んでいます。

生成AIパスポートは、一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)の試験で、公式ページの見出しは「生成AIリスクを予防する資格試験」です。生成AIの基礎知識や動向、活用方法に加えて、情報漏洩や権利侵害などの注意点を扱うと案内されています。G検定がAI全体の仕組みから入るのに対し、こちらは生成AIを安全に使うための知識に寄せた構成です。

受験料は変わることがあるので、この記事には書いていません。申し込む前に、下のリンクから主催団体の最新の案内を見てください。

G検定と生成AIパスポートの範囲と形式を、公式ページで比べる
項目G検定生成AIパスポート
実施団体日本ディープラーニング協会(JDLA)生成AI活用普及協会(GUGA)
受験の方法オンライン試験(自宅受験)と会場試験オンライン(IBT方式)
時間と問題数オンライン試験は100分、145問程度(次回試験の概要)60分、60問
出題の形知識問題(多肢選択式)4つの選択肢から、適切または不適切なものを1つまたは複数選ぶ
範囲の柱技術分野(AIの定義、機械学習、ディープラーニング、社会実装など)と法律・倫理分野2027年2月試験から、AIの基礎と歴史/生成AI/AIエージェント/リスク予防・AI倫理・ガバナンス/実践と活用事例の5章
開催2026年はオンライン試験が年6回、会場試験が年3回年5回(2月・4月・6月・8月・10月)。各回の受験期間は1か月

参考リンク

試験で確かめられるのは知識。作ったものの出来は確かめられない

2つの試験はどちらも、選択肢から答えを選ぶ形式です。AIに依頼文を書いて出力を直す、社内資料の下書きを仕上げる、といった作業を採点する課題は、どちらの試験概要にも書かれていません。合格して分かるのは、範囲の知識を選択肢の中から見分けられることまでです。

とはいえ、知識が仕事の役に立たないわけではありません。AIにどんな情報を入れてはいけないか、出力をどう確かめるか、生成物の権利をどう考えるかは、生成AIパスポートの範囲に入っています。G検定でも、法律・倫理分野に個人情報保護法や著作権法が並んでいます。知らないまま使い始めると事故を起こしやすい部分で、ここを体系立てて学べることが資格勉強の強みです。

下の表は、仕事でAIを使う場面ごとに、試験範囲で学べる知識と、試験の外で練習しないと身につかない作業を並べたものです。右の列が多い人ほど、資格勉強と並行して手を動かす練習が要ります。

試験で確かめられるのは知識。作ったものの出来は確かめられない
仕事の場面試験範囲にある知識の例試験の外で練習する作業
社内の情報をAIに入れるか決める個人情報、機密情報の扱い、シャドーAIのリスク自分の会社の規程を読み、入れてよい情報と言い換える情報を仕分ける
AIの答えを確かめるハルシネーションが起きる理由、出力の評価と検証答えの数字や日付を、元の資料と1行ずつ照らし合わせる
AIに文章や資料の下書きを頼むプロンプトの考え方、活用事例自分の業務の題材で依頼文を書き、出力を直して提出できる形にする
画像や文章を外へ出す著作権、生成物の権利、利用規約の考え方使うサービスの規約と依頼主の条件を、出す前に確かめる
AIを業務の流れに組み込むAIエージェントの仕組みと、人による確認の必要性任せる手順と人が見る手順を決め、過去の記録で試す

資格が役に立つかは、見せる相手が何を求めているかで決まる

資格の使い道は、大きく2つに分かれます。自分の学ぶ順番を決める道具として使う場合と、誰かに見せて評価してもらう証明として使う場合です。前者なら、公式のシラバスを学習の地図にできるので、合格まで進まなくても役に立ちます。後者は、見せる相手がその資格を知っていて、書類や制度で求めているかどうかで価値が変わります。

次の5つの問いに、自分の状況で答えてみてください。1と2に「はい」があれば、資格そのものが評価の材料になる見込みがあります。3だけが「はい」なら、試験を学習の締め切りとして使う受け方が合っています。4と5に当てはまる人は、資格より先に別の準備が要ります。

1. 応募先の求人票や、勤め先の研修・評価制度の案内に、その資格の名前が書かれているか。2. 上司や取引先に、AIを安全に使う知識があると書類で示す必要があるか。3. 何から学べばよいか分からず、範囲の決まった目標が欲しいか。4. 見せる相手が知りたいのは、AIを使って作った文章・画像・資料の出来か。5. AIを組み込んだ仕組みを作るエンジニアを目指しているか。

確認リスト

  • 資格を見せたい相手を、具体的に1人か1社書き出した
  • その相手の書類(求人票、社内制度の案内など)に資格名があるかを確かめた
  • 相手が知りたいのが知識なのか、作ったものの出来なのかを分けた
  • 資格を学習の目標として使うなら、試験日から逆算して勉強の予定を立てた

練習:架空の3人に、資格を勧めるかを判断する

前の節の5つの問いを使って、3人の相談者に資格を勧めるかどうかを考えてみてください。答え合わせは次の節にあります。

練習例
【つくりてラボが作った架空の例:資格の相談をした3人】

Aさん(総務・入社5年目)
会社が生成AIの利用を始め、社内の利用ルールづくりを任された。研修制度の案内に「生成AIパスポートの受験料を会社が負担する」と書かれている。AIはまだほとんど使っていない。

Bさん(営業事務・副業を考えている)
AIで作った紹介文や画像の作成を、個人で請け負いたい。資格があれば仕事を任せてもらえると考え、G検定と生成AIパスポートの両方を受けようとしている。

Cさん(工場の生産管理・社内異動を希望)
社内のデータ分析部門への異動を希望している。部門の募集要項に「G検定合格者歓迎」とある。統計の基礎は学んだが、機械学習の仕組みは説明できない。

答え合わせ:資格が効くのはAさんとCさん、Bさんは作品が先

Aさんは、研修制度の案内に資格名があり、利用ルールづくりではリスクの知識をそのまま使います。問い1と2に当てはまるので、生成AIパスポートの範囲を学ぶことが仕事の準備にもなります。ただ、ルールを書く作業は試験に出ません。勉強と並行して、自社の規程と使っているサービスの規約を読み比べる練習が要ります。

Bさんが仕事を頼まれるかどうかは、依頼主が見る紹介文や画像の出来で決まることが多く、問い4に当てはまります。2つの資格を取っても、作ったものを見せる準備はできません。先に架空の依頼で作品を3つ作り、権利と規約を確かめる手順を身につけるほうが、依頼主に見せられるものが早くそろいます。資格を考えるのは、作品を作る中で知識の穴に気づいてからで十分です。

Cさんは、異動先の募集要項にG検定の名前があり、問い1に当てはまります。機械学習の仕組みを説明できないという弱点も、G検定の技術分野の範囲と重なります。データ分析の仕事では実際のデータを扱う作業も求められるので、合格後に表計算やプログラミングで小さな分析を試すところまで計画に入れておきましょう。

答え合わせ:資格が効くのはAさんとCさん、Bさんは作品が先
相談者当てはまる問い判断試験の外で練習すること
Aさん(総務)1・2生成AIパスポートを受ける自社の規程と、使うサービスの規約を読み比べて利用ルールの案を書く
Bさん(副業)4資格より先に作品を作る架空の依頼で作品を3つ作り、権利と規約の確認手順を記録する
Cさん(異動希望)1・3G検定を受ける合格後に、手元のデータで小さな分析を1つ試す

求人票の「歓迎」と「必須」を読み分ける

求人票に資格名があるといっても、書かれ方で重みが違います。次の架空の求人票で、資格が応募の条件になっているのか、あれば加点される程度なのかを読んでみてください。

この求人票で必須になっているのは、AIツールで資料を作った経験と、その出来を見せることです。G検定と生成AIパスポートは歓迎の欄にあり、持っていなくても応募はできます。この求人に応募するなら、資格より先に、提出できる資料の見本をそろえておくほうが選考で見せられるものが増えます。資格名が必須の欄にある求人なら、話は逆です。応募の前に受験の予定を立てましょう。

具体例
【つくりてラボが作った架空の例:求人票の一部】

職種:営業企画アシスタント(生成AI活用)
仕事内容:提案資料の下書きを生成AIで作り、担当者と仕上げる。社内向けのAI活用事例をまとめる。
必須:AIツールを使って資料や文章を作った経験(作成物を面接でお見せください)
歓迎:G検定、生成AIパスポートなどAI関連の資格/社内でAIの使い方を教えた経験
選考:書類選考 → 作成物の確認を含む面接(2回)

試験勉強と並行する練習:範囲の1項目を、自分の題材で1回試す

資格を受けると決めた人も、勉強をテキストだけで終わらせると、試験の外の作業が手つかずのまま残ります。そこで、シラバスの項目を1つ読んだら、その週のうちに自分の題材で1回だけ試す、という進め方を勧めます。読んだ知識が仕事のどこで使えるかを、試験の前に確かめられます。

下の表は、シラバスに出てくる項目と、それを試す小さな練習を組み合わせた例です。題材は、実際の業務の情報を使わず、自分で作った架空のメモや表にしてください。この練習で見るのは、知識を使う場面が分かったかどうかで、成果物の出来は問いません。最後の列の確かめ方で「できた」と言えなければ、その項目はテキストに戻って読み直します。

練習の記録は、ワークシートの「試験の外で練習すること」の列に残してください。合格したあとにどの項目を仕事で使えたかを振り返るときも、面接や社内の報告で資格名と一緒に「何を試したか」を話すときも、この記録が手元の材料です。

試験勉強と並行する練習:範囲の1項目を、自分の題材で1回試す
シラバスの項目(例)その週に試す練習できたかの確かめ方
ハルシネーション架空の会議メモをAIに要約させ、要約の数字と日付を元のメモと照らす食い違いを見つけた場合も、なかった場合も、照らした行を記録できた
個人情報・プライバシー架空の顧客一覧から、AIに入れる前に消す列と言い換える列を決める消した理由を1列ずつ説明できる
知的財産・生成物の権利使っているAIサービスの利用規約で、生成物の扱いが書かれた箇所を探す規約の該当箇所を引用して、外に出してよい条件を書ける
プロンプトの考え方同じ依頼を、条件を足しながら3回書き直し、出力の違いを並べるどの条件が出力のどこを変えたかを指させる
AIエージェントと人による確認AIに任せる手順と、自分が見る手順を紙に書き分ける自分が見る手順を飛ばしたら何が起きるかを1つ挙げられる

参考リンク

申し込む前に確かめること:シラバスの版、申込期限、払い戻し

生成AIパスポートのシラバスは、2027年2月の試験から新しい版に変わります。公式の改訂説明によると、AIエージェントが独立した章になり、リスク予防と倫理の章ではシャドーAIや出力の検証、社内ガイドラインの内容が増えています。旧シラバスは2026年10月試験までです。これから教材を買うなら、新しい版に対応しているかを表紙や説明で確かめてください。

G検定のオンライン試験は、受験チケットを買い、有効期限の1年以内に受ける回を予約する仕組みです。公式ページには、買ったチケットは主催者側の事情による場合を除いてキャンセルや払い戻しができないと書かれています。予定が立ってから買いましょう。次回のオンライン試験は2026年11月6日と7日で、個人の申込は10月29日までと案内されています。

JDLAが実施していた生成AIの「Generative AI Test」は、公式ページに試験終了に伴い次回の開催はないと書かれています。ほかの記事で紹介されていても、いまから受けることはできません。勤め先によっては団体受験や受験料の補助があるので、自分で申し込む前に人事や研修の担当者にも聞いてみてください。

参考リンク

確認リスト

  • 受ける回のシラバスの版と、手元の教材が対応している版が同じ
  • 申込期限と受験日が、仕事の予定と重なっていない
  • 受験チケットの有効期限と、払い戻しの条件を読んだ
  • 勤め先に団体受験や受験料補助の制度があるかを聞いた

AIを作る側を目指すなら、E資格と認定プログラムも視野に入る

問い5に当てはまり、AIを組み込んだ仕組みを作るエンジニアを目指す人には、JDLAのE資格という別の試験があります。公式ページによると、受験するには、JDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了している必要があります。認定プログラムは教育機関や民間事業者が提供する講座で、独学だけでは受験資格を得られません。

同じページには、認定プログラムの中に厚生労働省の教育訓練給付制度の対象になっているものがあるとも書かれています。E資格を目標にする講座と給付金の条件は、別の記事にまとめました。G検定からE資格へ進むかどうかは、プログラミングでモデルを動かす作業を続けたいかで決めるとよいでしょう。

参考リンク

独学で受ければ足りる人、スクールを比べてよい人

G検定と生成AIパスポートは、どちらも主催団体の公式ページでシラバスが公開され、公式や公認のテキストも案内されています。公開されたシラバスとテキストがあるので、範囲の知識を身につけて合格を目指すところまでは独学でもたどれます。資格のためだけにスクールへ申し込む必要はありません。

スクールを比べる価値があるのは、試験の外の作業を誰かに見てもらいたいときです。自分の業務の題材で作った依頼文や資料を添削してもらう、作品の出来を講師に確かめてもらう、E資格の受験資格になる認定プログラムを修了する、といった目的がある人です。講座を選ぶときは、資格の合格を売りにしているかより、課題の提出と添削がどこまで付くかを比べてください。

自分に合う学び方がまだ決まっていない人は、下のワークシートで資格を見せる相手と練習する作業を書き出してから、AIカテゴリの目的別の選び方へ進んでください。

参考リンク

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